僕は、生まれ変わったら、この葉っぱになりたい。
T君は、そう思いつきました。
T君は、橋のたもとで待っています。
橋の向こうから、春が来るのを待っています。
でも、T君は飽きてしまします。
春を待つのをすぐに飽きてしまいます。
T君は、とてもせっかちなのでした。
T君は思いました。
「どうして春は、すぐに来てくれないんだろう」
T君は、クリスマスはが来た後は、残りの冬は全ておまけと思うような男の子でした。
T君は、春が大好きです。
それは、桜やつくしが大好きです。
でも、何よりも、大好きなのは桜餅でした。
美味しいあんこ、綺麗な桜色、そして、何よりも塩っ気のある葉っぱがたまりませんでした。
そして、彼は思います。
桜餅には、この葉っぱが欠かせないと。
僕も、大きくなったら桜餅の葉っぱみたいになりたい。
一番ではなく、二番目。
絶対に欠かせない二番手になりたいと、春を待ちながら、T君は思いました。